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『災害対策・被災者支援に関する研修会』(神奈川県司法書士会・神奈川県青年司法書士協議会の共催により11月19日実施)参加メモ。

 

11月19日に開催された「災害対策・被災者支援に関する研修会」に参加してきました。

 

災害一般の基礎知識,災害法制や公的支援制度の解説,司法書士としての関与の在り方や相談に際しての心構えや留意するべきことなどについて,日本司法書士会連合会の市民救済委員会委員を務めていて被災地相談の経験が豊富な司法書士に講義してもらいました。

 

神奈川県公式ウェブサイトに,令和元年台風第15号(第19号についても一連の災害として)に伴う横浜市の被害状況が,被災者生活再建支援法(平成10年法律第66号)に基づく適用要件を満たしたため,同法の適用を決定した旨が掲載されていました。神奈川県でも同法の適用は今回が初めてとのことです。 

令和元年10月9日の公示文より (出典 神奈川県公式ウェブサイト) 

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/j8g/bousai/shien/r1_taifu15_saikenshienho.html

 

今回の台風による被害状況の深刻さが伝わってきます。

 

今回の研修会での概要を記しておきます。 

被災者がまず必要とすることは安全や住居・食料の確保ですが,その後の段階で主にどういった相談があるのか,司法書士は何が出来るのかを知ってもらいたいと考えています。

 

1.講義の前半では被災者関連の主な法律や政令について解説がありました。

解説してもらった法律・政令だけでも以下のような様々なものがありました。

 

・災害救助法,災害救助法施行令 

・災害対策基本法 

・災害弔慰金の支給に関する法律 

・激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律 

・特定非常災害特別措置法 

・被災者生活再建支援法 

 

2.講義の後半では具体的な災害時の相談事例について解説してもらいました。

ここでは以下8個の相談類型を紹介してもらいました。

 

    借家関係 ②隣接物の倒壊・崩落 ③借金やローン ④不動産取引 

⑤ 労働問題 ⑥税金 ⑦消費者被害 ⑧保険・年金 

 

借家関係や隣接物の倒壊・崩壊に係わる相談事例に関しては,相談者の相手方も被災者であるため,調停やADR(*)の利用による話し合いでの解決を視野にいれて相談対応することの有効性についての話が印象的でした。

 

(*)ADRというのは,紛争の解決手段として当事者だけで話し合うのではなく,また裁判所の判断を求めるのでもなく,専門家に間に入ってもらい当事者でじっくり話し合って解決に向かうための手続きです。例えば司法書士会のような民間機関でも調停が実施できるようになっていて,各地に法務大臣の認証を受けた司法書士会調停センターが設けられています。

 

また本研修会では多くの災害時の補助金・貸付金制度を紹介してもらいましたが,これらについては内閣府ホームページに掲載されている「被災地支援に関する各種制度の概要」が解りやすいとのことでした。

 

(参考リンク 「被災地支援に関する各種制度の概要」(内閣府)

http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf

 

「災害対策・被災者支援」というと身構えてしまいますが,我々が出来る事としては適切な制度の紹介や専門機関に繋げること,相談者に寄り添って傾聴することが大切であると教わりました。

 

本研修会は約50名くらいの参加者がいて,予想していたよりも参加者が多く感じました。先日の台風被害などで具体的な相談案件を抱えている司法書士や,今後も起こりうる災害による相談業務に対応できるように準備しておきたいと考えている司法書士が多くいるのだと思います。

 

余談ですが,今回の研修会では私は聴講するだけでしたが,私と同期合格の友人達が受付係や司会進行役などの務めを立派に果たしていました。災害はいつでも起きりうるものなので,日ごろから司法書士仲間と一緒に研鑽していきたいと思います。