令和3年10月23日と24日の二日間にわたり兵庫県姫路市で開催された代表者会議。
司法書士の青年会が各地域にあります。その全国会の会長が今年度は神奈川会から選出された関係で私も名ばかり事務局次長を務めています。
オンライン会議が普及していなければ今ごろ全国各地の会議にスタッフとして駆り出されているところですが、これまで全ての会議が完全オンラインで開催されてきました。
今回は感染症拡大が弱まってきた時期のため、オンライン参加と現地参加併用のハイブリッド形式で全国各地の青年会の代表者が集まった会議が開催されました。
今回は私も現地スタッフとして参加しました。
「登記原因証明情報作成権限」などを巡るこれまでの動き。
~これからの司法書士の青年会の在り方。~
今回の会議で、私も所属している全国青年司法書士協議会の民法・不動産登記等研究委員会の委員長より、登記原因証明情報作成権限の歴史というか、これまで法務省、日司連、日政連などで行われてきた検討や議論の概要の説明がされ、その内容を踏まえて各地の代表者の間で活発に議論が行われました。さらに後半では、青年会に特有の悩みや希望について情報と意見の交換がされとても有意義な会議でした。
~登記原因証明情報作成権限とは?~
登記申請(ex.所有権移転登記申請)という手続上の原因となる、実体上の事実(ex.売買)の裏付け・真正担保の資料として登記原因証明情報を提供する仕組みがあります。
オンラインによる登記申請の実務では、当事者が作成した当該書面をスキャナでデータ化したものを申請データに添付してオンラインで提供するのですが、後から当該書面(紙)を管轄法務局宛に郵送するという、なんともアナログな方法により手続がされることが一般的です。
この登記原因証明情報作成権限は申請手続の当事者、特に義務者にあるとされています。
作成権限を有する登記申請手続当事者が電子署名をすることが出来れば、場合によっては裏付け資料も含めて完全にオンライン申請で完結することができるのでしょうが、なかなか個人の電子認証(オンライン上の実印)システムの普及は進まないでしょうし、権利証がデータのものと紙のものがあるため、個人の電子認証を活用したとしても、手続上、オンライン申請の後で紙の権利証を郵送する必要があるケースもあり、やはり完全なオンライン手続の実現は今のルールのままでは困難だと思われます。
そこで、登記原因等に関する調査・確認権限及び登記原因証明情報作成権限を登記に関する専門職である司法書士が取得することにより不動産登記制度のデジタル化を実現させようという検討と議論が進められているようです。
青年会では、デジタル化への対応が困難な市民に対しても十分配慮した制度設計とすることを求める前提で、この大きな権限取得について基本的に賛成する姿勢を示しています。
(冷静に考えれば、司法書士に登記原因証明情報作成権限が無い現状においても、実際には司法書士が書面を作成して確認して申請代理を行っているため、専門職にかかってくる登記原因証明情報に係わる責任の重さは変わらないかもしれませんが。)
いずれにしても、大きな権限取得には重い責任が伴うこととなるため、我々専門職にとっては制度化に向けた今後の議論を注視していかなければならないことはもちろんですが、一市民としても、自己の財産の権利の発生・変更・消滅を反映させるための手続に関して、今よりも多くの権限を専門職に委託することになることになるため、やはり新しい制度が創られるときにはその過程も含めて注視していく必要があると思います。